「うちの部下は報連相ができない。」と嘆いている上司やリーダーは少なくありません。
でもそんな人に限って、報連相は部下から上司へするものだと決めつけてはいませんか?
報連相はコミュニケーションスキル
報連相はもちろん「報告」「連絡」「相談」のことで、コミュニケーション良く業務を進めるためには基本的なスキルです。
ところでコミュニケーションは部下から上司へ一方的にするばかりではありませんよね?そう、コミュニケーションとは双方向でするものです。
報連相もコミュニケーションと同じす。部下から上司へだけではなく、上司から部下へもどんどん積極的にすべきなのです。
ただし、忙しく業績重視の現代IT社会では、何でもかんでも報連相をしていればそれでOKというものではありません。
部下のモチベーションを高め、職場のコミュニケーションを円滑にする報連相を多なうのには、ちょっとしたコツがあるのです。
できる上司が実践する、部下への報連相
では上司はどのような報連相をすればいいのでしょうか?
例えばこんなケースがあります。
「会社の経営会議で新しいプロジェクトへの取り組みが決まった。これに関してうちのチームは○○の目標を持って○○の業務に取り組まなければならない。ついてはメンバーはだれでリーダーはだれである。納期はいつまでだから、現在遂行中の業務とのバランスを考え、割り振りはこのように進めていこう。」
このように上司は部下へ、業務に取り組む理由や背景、目的、投入するコスト(時間・マンパワー)や最終目標などを明確に伝えなければなりません。
そしてこれらを決定する前には、個別に、あるいはミーティングなどの場で複数の、部下の意見を聞いて相談する必要があるかもしれません。
このようにして意思決定がなされ、情報が共有化されてメンバーに周知されれば、部下は自分の仕事に自信をもって取り組むことができます。
情報を得ると、部下は安心する
そして相談された部下は意思決定に参加したという満足感や自己肯定感を得られ、それが目的意識をもって主体的に仕事に取り組む意欲につながります。
また他のメンバーの取り組んでいる業務内容も可視化され、チーム内の協力体制が自然と生まれてくるわけです。
一方、情報がない部下は自分の仕事の判断基準を持てません。周囲の仕事も見えてこないので自分の仕事にも自信が持てず、つねに不安を抱いています。
適切な時期に必要な情報をきちんと部下へ伝達すること。
また意思決定にあたっては部下の意見も必要に応じて聴取して取り入れること。
これは上司の果たすべき重要な役割です。
一方で、必要な情報を伝達せず、報連相なしで個別の業務指示だけをしている上司では、部下の主体性は育ちませんし、チームワークも醸成されません。
不安を取り除けば、部下は主体的に動く
部分的な情報のみを与えて全体像を知らせない上司。一部の(お気に入りの)部下にしか情報を与えない上司。「君たちはそんなこと知らなくてよい、私の与えた指示に従ってさえいればよい。」そのような姿勢を見せる上司では、主体的に仕事に取り組もうというモチベーションが削がれてしまいます。
部下は情報がないため、すべてのことを上司に確認しなければ動くことができません。しかし全体像を知らされていないため質問も部分的であったり、的を得ていなかったり。すると上司のあなたからの評価も下がり、質問する側も自信がないので質問に対してますます消極的になります。
また隣のスタッフがどんな仕事に取り組んでいるのかメンバーの情報共有がされにくく、メンバー間の風通しが悪くなると、自然とチーム間で報連相をしにくい雰囲気が醸成されてしまいます。
そんなチームでは次第にコミュニケーションが分断されていくでしょう。
一見、部下の全員がなんでもあなたに質問する統率の取れた組織に見えたとしても、情報を与えられておらず主体性を持てない部下からの質問と、全体像を理解し自信をもっていきいきと業務に当たっている部下からの質問とは、その質はまったく異なります。
賢い上司は両者の違いがきちんと見極められます。一方、見極められない上司に付いた部下は、悲劇です。
まとめ
○上司はチームメンバーである部下に必要な情報を、適切に伝える。
○上司は意思決定に当たり、部下に相談して良い意見を取り入れることで部下の参加意識を高める。
○上司はチームが取り組む業務の目的や背景までを部下に伝え、チーム全員の目指すベクトルをそろえる。
上司のあなたがこれらを意識して実践することで、主体性を持ち業務に取り組み、適切な報連相ができる部下を育成していくことが可能になるのです。
そして、貴方のチームは強いチームへと生まれ変わります。
上司は積極的に部下に報連相をし、できる部下を育てましょう。