クリティカルシンキングとは?|批判的思考を鍛える5つの方法

クリティカルシンキングとは ビジネススキル

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、物事や情報を無批判に受け入れるのではなく、多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解する思考法です。

認識した情報をあえて批判的に見ることで、物事の本質を見極め、思考の客観性を高めることができるのです。

ビジネスのスピードは速くなってきており、これまでの業務のやり方が常に正しいということはあり得ません。これまでの常識を疑って考えることは、ビジネス手法のアップデートのためにの大切な視点です。

クリティカルシンキングについて理解し、ビジネスのアップデートに役立ててください。

クリティカルシンキングとは

ジグソーパズルのピースのイラスト

クリティカルの語源は「きびしく批判する」「慎重な判断を下す」などからきており、「クリティカルシンキング」は、「批判的思考」とも言われます。

クリティカルシンキング(批判的思考)は、物事や情報を無批判に受け入れるのではなく、批判的な視点で見ることで、多角的な視点から情報を捉え論理的・客観的な理解に基づく判断を下すことができます。

クリティカルシンキングでは、自分の信念が常に正しいと考えてしまう思考のバイアスに陥らず、常に「このやり方は正しいか」、「もっといい方法があるのでは」と疑う気持ちを持つことが重要です。

そこから常識や既成概念にとらわれない、新しい解決方法を導き出していくという思考法なのです。

ロジカルシンキングとの違い

ビジネス関連で頻繁に聞かれる言葉の一つにロジカルシンキング(論理的思考法)があります。ロジカルシンキングは課題を論理的・体系的に整理することで、結論を導き出す思考法です。

ロジカルシンキングでは、筋道を立てた説明ができるようになるため、会議などの場で自分と違う意見を持つ相手がいた場合でも、自分の主張に説得力を持たせることができます。

しかしロジカルシンキングにも弱点はあります。

それは、論理的に考える思考法である反面、対象を批判的に見ることが無いということです。そのため、検討対象や前提自体に間違いや誤った思い込みが存在する場合は、導かれる結論も違ったものになる危険性を孕んでいます。

一方、クリティカルシンキングは、検討対象や前提条件さえも批判的・多角的視点から疑って考えることで、前例にとらわれず、情報を正しく客観的に収集し、その情報を基に正しい解決方法を探す思考法です。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングは、相反する考え方ではなく補完的な関係にあると捉えて、両者をうまく組み合わせて使用することが大切なのです。


【ロジカルシンキングの長所】
 ・既にある枠組み(フレームワーク)を利用して、情報の整理ができる
 ・情報を分かりやすく伝達できる

【ロジカルシンキングの短所】
 ・論拠となる前提条件に誤りがあると、誤った結論が導かれる

【クリティカルシンキングの長所】
 ・前提となっている条件が正しいのかの検証ができる
 ・視野を広げて考えることができる

ロジカルシンキングとは?|論理的思考を鍛える4つの方法
ロジカルシンキング(論理的思考)は、ビジネスシーンのさまざまな場面で課題解決に役立つスキルです。帰納法や演繹法とともに、ビジネスで役立つロジカルシンキング(論理的思考)についてわかりやすく解説します。

クリティカルシンキングの5つのメリット

考えている男性の後ろ姿

クリティカルシンキングを身につけることで期待できるメリットを紹介します。

事実に基づいた判断を行える

クリティカルシンキングでは既成の価値観や思い込みを批判的に捉えます。

例えば「売上が大幅にアップした」という事象があった場合、「本当に大幅なのか?」「具体的な数値の変化はどの程度か?」のように抽象的な表現を具体化して考えます。

このように細分化してとらえた正確な事実を基に事象を定義するため、より正確な判断が可能になります。

矛盾点や情報のモレに気付く

クリティカルシンキングは認識したあらゆる情報をあえて批判的にとらえるため、見落としがちな矛盾点やモレに気づくことができます。「ほかの数値はどうなっているか?」「算出の期間は適切か?」「他社の動向は?」「外的要因は無いか?」といった多面的は問いかけが、矛盾点や情報のモレを明らかにするのです。

誤った判断のリスクを回避できる

クリティカルシンキングは、多くの人が妄信する噂や、誤った前提条件なども、批判的にとらえることができます。そのため、誤った前提条件に基づく無意味な議論や、安易な結論付けなどのリスクを回避できるメリットがあります。

新たな視点やアイデアを得られる

クリティカルシンキングにおける前提条件や結論までも批判的にとらえる姿勢は、これまでになかった視点やアイデアをもたらすことがあります。「これまでのやり方が最適解なのか?」「もっと良い方法があるのではないか?」といった問いが新たな切り口となるのです。

円滑なコミュニケーションが可能になる

自分の思い込みに固執することなく、事実をベースとした思考ができるため、スムーズなコミュニケーションが可能となります。会議の場でも、意見を述べる者が互いにクリティカルシンキングによる批判的視点を前提としていれば、反対意見や問いかけに過敏に気をつかう必要もありません。

ただし、批判のための批判や、威圧的にならないように問いかけの表現や質問の仕方には留意しましょう。

クリティカルシンキングが苦手な人の特徴

恐ろしいライオンの写真

クリティカルシンキングは、一刻一刻と変化し続ける現在のビジネスにおいて、本質を見極めた最適解を素早く導き出すために必須のスキルです。

以下のような傾向が強い人は、クリティカルシンキングが苦手な人です。自分に当てはまる点がある人は注意してください。

思い込みが激しい人、素直すぎる人

先入観や思い込みは、クリティカルシンキング思考の邪魔にしかなりません。先入観や思い込みが強い人は、多角的で客観的な結論にたどり着くことができません。

また素直すぎる人、ほかの人の意見に従っているのが楽で安心できると考えがちな人も、現状を批判的に捉えるクリティカルシンキングが苦手な人と言えます。

自己中心的な人

また、自己中心的な人はビジネスの課題と自分の事象を切り離して考えることが苦手です。自分の意見に対して疑問を投げかけられると、自分自身を否定されたと錯覚して、感情的になってしまいます。これでは、問題解決のための議論はできなくなります。

自分の考えに固執する人

自分の考えに固執する人はクリティカルシンキングが苦手な人です。自分の考えが正しいと考えるあまり「常に問い続ける」というタスクが達成できません。

自分の意見に固執するために、自分の意見の正当性ばかりを主張するようになります。他人の意見やアドバイスも耳に入りません。そうなると前向きな議論は望めなくなります。

思考が固まってしまっては最適解を導き出すのは難しくなるのです。

目的より過程を大切にする人

考える過程を大切にすることは悪いことではありませんが、考える過程ばかりを重視する人は、最も大切な「目的(ゴール)」を見失うことにつながります。

目的は羅針盤的な役目を果たします。問題を最適解に到着させるために論理的に、客観的な視点を持って目的に向かった手段を講じる必要があります。過程を大切にして問題を対処療法で解決するのではなく、本質的な課題をしっかり見据え、抜本的な問題解決を目指す姿勢が大切です。

クリティカルシンキングを鍛える5つの方法

考えている人のイラスト

クリティカルシンキングを身につけることで、問題解決スキル、コミュニケーションスキル、論理的思考のスキル、クリエイティブスキルなども強化されます。

以下に、クリティカルシンキングを鍛える5つの方法を紹介します。          

1.自分の思考の癖を意識する

私たちは自分でも意識していないうちに、自らのネガティブな思考に意識を乗っ取られていることがあります。

 ・心配事があるとほかのことが手につかない
 ・自信がないプレゼンの前には、いつも以上に緊張してしまう
 ・ついついいつもの慣例に従い、新たな方法にチャレンジしない

誰もがこのようなネガティブな状況には陥りがちですが、そんな時は敢えて意識的に、自分自身のおかれている状況を、俯瞰的・客観的にみるようにしてください。

自分自身を第三者の視点から見ることができれば、余計な心理的バイアスを取り除き、批判的・客観的立場から現状を冷静に分析することができるようになります。

2.「なぜ」を繰り返し問う

クリティカルシンキングを身につけるためには、繰り返し自問自答をする癖をつけることが重要です。問題に対して「それは本当に正しいのか」「それはなぜなのか」といったことを、常に問い続けるのです。

例えば、課題の解決が難しい場合には、解決できない理由を出来るだけ多く書き出し、その理由を頭の中で深掘りしていきましょう。次第に本当に解決すべき問題、およびそれを解決する手段に気付けるようになります。

3.正確な情報を入手する

クリティカルシンキングでは、現状を分析することが大切です。そのために、現状を正確に表すことのできる情報を集めそれらを精査することで、課題解決のための取っ掛かりを探ります。

このとき、誤った情報が混ざっていると、最終的なアウトプットが的外れなものになってしまう可能性があります。本来は課題ではないところに課題を想定してしまえば、そこへのアプローチ策を取ったところで、何も現状は好転しないためです。

ゴールに向かって現状を丁寧に分析するためにも、正確な情報の収集に力を入れましょう。

4.批判的視点を持つ

何かを考えるときに、“そもそもの前提”を疑わずにいる場合には、客観的な思考ができているとは言えません。前提すらも疑いながら考え、思考過程に問題がないかを常に確認しながら考えることが重要です。

意識的に、批判的に物事を捉えるようにしましょう。批判的に物事を捉えるということは、物事を客観的に捉えるということにもつながります。批判的な視点を持ち、客観的に考えることで最適な解を導き出せるようにしましょう。

5.目的・ゴールを明確にする

課題を解決するためには、目的・ゴールを明確に設定する必要があります。

それらをきちんと決めておかないと、考えが発散して本来の目的からは逸れた思考に意識がとらわれてしまい、見当はずれの結論が導かれてしまうためです。

そうなると、時間も労力も無駄になり、課題解決が遠のいてしまいます。

意味のないことに思考が発散してしまわないためにも、まずは目的、およびゴールを設定するようにしましょう。

まとめ

いかがでしょうか。

クリティカルシンキング(批判的思考)のメリットや、鍛え方について理解できたと思います。

あなたのビジネスにクリティカルシンキングを積極的に取り入れることで常識や既成概念にとらわれない新しい解決方法を導き出し、ビジネススキルをますますバージョンアップしてください。


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