転職活動の面接で聞かれる質問で答えにくいもの、それは転職理由だと思います。
なぜ面接官は転職理由を聞くのか
中途採用の場合に面接官が特に気にする点は次の2点です。
まず一つ目は、これから同様と協調性をもって働くことができるか、人間性を確認したいから。
入社後に想定外の仕事やチームに配属されたとしても、不平不満を言わずに同僚と仲良く仕事をしてくれるか。変なプライドをもって周囲の言うことを聞かない偏屈な人間ではないかどうかを確認したいのです。
そしてもう一つは、またすぐに辞めるのではないかという心配。
あなたの退職理由が単に前職に対する不満だけだったとすると、新しい職場でもまたすぐに辞めるんじゃないかと、誰でも心配に思ってしまいます。
そして辞めた後でよその職場で、ウチの不平不満を言いふらすんじゃないかという不安が付きまとうのです。
あなたが採用された後に辞めずに新しい職場になじんで、しっかりと長く務めてくれて我が社に貢献してくれる人物であるかどうか。
結局のところ、面接官はこの点をしっかりと見極めたいがためにあなたの退職理由を確認するわけです。
そして、あなたが退職理由を説明する際にしっかりアピールしなければいけない点は、多少の想定外や困難があっても辞めない人間であること、不平不満ばかり言わずに前向きに業務に取り組む人間であることです。
これを意識して退職理由説明の準備をしましょう。
退職理由はポジティブワードで表現する
長年仕事についていれば、誰しも職場に対する不満の1つや2つあるでしょう。しかし面接ではそれをネガティブワードでそのままストレートに表現しては絶対にいけません。
実際に職場に対してネガティブな意見を持っていたとしても、自分の気持ちもう少し深く掘り下げてみて下さい。
40代で転職するというリスクを犯してまでも、あなたが転職活動を実際にスタートすることになったその背景には、必ずあなた自身の将来をしっかり考えた上での大きな決断があったはずです。
自分自身のキャリアをステップアップさせるためにあなたが選んだ転職という道。その決断をするに至ったあなたの熱い思いを言葉で表現するのです。
次に、ネガティブな発想をポジティブワードに置き換える具体例を考えてみましょう。
給料が安いという不満は
これはあなたが、現在の職場では自身の能力やスキルを正当に評価されていない、もっと上のレベルに挑戦したい、と考えている事の現れです。
新しい職場に着任したら、自分の能力をもっと生かし実力を発揮したい。今までの職場で経験し身に付けた技術やスキルを生かして、新しい職場では企業の売り上げにより一層貢献したい。そして正当な評価を受けたいという気持ちを表現するのです。
仕事が忙しすぎると言う不満は
忙しすぎる現状を改善できた後には、あなたが職場に対してどのような面でよりプラスアルファの貢献をしたいと考えているのかを具体的な言葉で表しましょう。
〇〇の資格を取って仕事に生かし、クライアントを獲得したいとか。ルーチンワークに追われるだけの日常では業務改善の余裕が全くなかったが、具体的にこのように業務の改善をして職場に貢献したいといった希望を語るのです。
上司や同僚と合わないという不満は
あなたは新しい職場で、信頼関係に基づく最良の人間関係を構築したいという気持ちを持っているはずです。
新しい職場では、以前に実現できなかったより人間関係を構築して、チームとして一丸となりプロジェクトに取り組みたいと言う、その思いを語ってください。
いかがでしょうかネガティブな理由の奥底には、必ずあなたが自分の置かれている環境を変えたいと考え、行動に至ったポジティブな思いが隠れているはずです。
それをきちんと言葉に表して、面接官に伝わるように表現する。そのことに努めてください。
逆にやってはいけないのは、前の職場の悪口を言うことです。最初に申し上げた通り面接官は、あなたが不平不満を言ってすぐにまた辞めてしまわないかを大変気にしています。
退職理由を説明する際に、どうしても前の職場の不条理な点に言及しなければならない場合にはポイントがあります。
それはその現状を、あなたがどのように改善しようと務めたのか。あなたの努力を付け加えることです。
残業が多かったのであれば、業務を工夫し改善したけどもそれでも追いつかないほどの仕事をこなしていたとか、パワハラ上司がいたのであれば、上司との人間関係を構築するためにあなたがどのような工夫をしてきたのかとか。
あなた自身の努力を必ず付け加えて説明をしてください。
介護問題はどう説明するか
また、40代の皆さんにはこの年代ならではの退職理由があるかもしれません。
最もありがちなのが親の介護問題です。これについてはどのように考えるべきでしょうか。
一般的に退職する側からすると介護など家族の理由は、やむを得ない事情として抵抗なく話しやすい理由だと思われます。
しかし一方で採用する側にとって、介護の理由はあまり良い印象を持たれないことが多いのです。
これは一つには、家族の理由はプライバシーの問題になりますので、面接官からはそれ以上突っ込んだ質問がしにくいということと、もう一つはあなた自身の人間性を掘り下げることが出来ないからです。
面接する側は一番聞きたかった質問であるにもかかわらず、遠慮せざるを得ず消化不良で漫然としない印象を持ったまま、無難に面接時間を終えることになりがちです。
面接官から突っ込んだ質問は出ないでしょうが、逆に応募者としてのあなたの印象は残らないでしょう。
また採用後にも、結局は家庭の事情で辞めるのではないかという不安を面接官に与える可能性も大いにあります。
退職理由であれば説明がつく
そもそも親の介護が大変なのであれば、それは「転職」理由ではなく、介護のためにいったん仕事を辞める「退職」の理由として使うべきです。
介護のためにいったん仕事を辞めざるを得なくなった。→そして親の介護が落ち着いたためにまた新たな職を探すことになった。という流れが一般的でしょう。
そしてその、仕事としては空白であった期間にはもちろん介護も大変だったのでしょうが、その経験からあなたが何を感じ取り、何を学んだのか。そしてその学びがこれからのビジネスマンとしてのキャリアにどう生きて来るのか。そこがポイントになります。
介護を通していかに人間的に成長したか
年代を重ねたあなたにしか経験できなかったことが、新しい職場でどのように生かされるのか。その点を深堀して説明できれば、面接官もあなたに対して頼もしさを感じるに違いありません。
そこまでの説明ができないのであれば、介護の話題は積極的には出さない方が無難といえます。
いかがでしょうか。
以上を参考にしていただき、面接で転職理由を聞かれた際には、あなたの人間性と、新しい職場への意欲をしっかりとアピールする良い機会だと前向きにとらえて、面接に臨んでください。