ファシリテーターとは
ファシリテーターとは、会議の進行をスムーズに行うための進行役のことを指します。
会議の参加者全員が意見を取り交わすための手助けをして、有益な結論にたどり着くように導く重要な役割を果たします。
ファシリテーターがいない会議やミーティングでは、論点がずれたり、話題が飛んでしまったりといったことが起こり、参加者が自分の意見だけを主張し、最終的に予定していた会議の結論を見いだせないまま終わってしまうリスクがあります。
そのような状況を避けるため、ファシリテーターは 参加者の議論を誘導していくガイドのような存在だと考えてください。
ファシリテーターと司会との違い
ではファシリテーターと司会は何が違うのでしょうか?
司会者は、会議などをプログラム通りに進める役割を担っています。
一方ファシリテーターは、司会と同じく進行役という役割も担いますが、それだけではありません。
参加者の意見交換を促したり、和やかな場づくりを心がけたりと、会議が価値あるものになるための要素を引き出すのがファシリテーターなのです。
facilitate(ファシリテート)には、「促進する」「容易にする」「助長する」などの意味があります。会社などの組織において、相互理解を促しながら合意形成し、問題解決を促進する活動を「ファシリテーション」と言い、ファシリテーションを行う人を「ファシリテーター」と呼びます。
ファシリテーターの4つの大切な役割
1.発言しやすい場の雰囲気を作る
参加者が発言しやすいと感じるための雰囲気作りのためには、会議のスタート前から準備する必要があります。
ファシリテーターは冒頭からオープンで歓迎的な態度を心がけましょう。
参加者に対して感謝の意を表し、彼らの参加を尊重します。笑顔やポジティブな言葉を使って、リラックスした雰囲気を作り出します。
会議中は、目線を合わせたり、身振り手振りを使ったりして、参加者に対する関心と共感を示します。
ファシリテーターは参加者の発言を注意深くリスニングし、その内容を理解しようと努力する必要があります。
参加者全員が、「自分の発言は他の参加者に聞かれている」と感じることが大切です。
2.中立的・客観的立場に立つ
ファシリテーターは議論や対話の進行を監督し、参加者が均等に発言できるようにサポートしましょう。
その際、自身の意見や、賛成反対といった立場を明確にしないほうが望ましいと言えます。あくまで中立的な立場から、参加者全員の発言を引き出すように心がけましょう
ある意見やグループに対して特別な扱いをすることなく、すべての参加者を平等に尊重し、対等な機会を提供します。
このことで、参加者は自由に意見を述べやすくなり、自己表現しやすい環境を提供できるのです。
3.意見を引き出すための質問を行う
参加者の発言について、説明が足りなかったりほかの参加者の理解が不足していると感じた際には、「○○は何を意味しているのですか?」といった追加の問いかけをしたり、発言の理由や背景を引き出したりすることも大切です。
このことでお互いの立場や主張が明確になり、より深い議論が進むようになるからです。
的確な質問や投げかけをすることもファシリテーターの大切な役割といえます。
4.目標(ゴール)を意識したタイムマネジメント
ファシリテーターは事前にスケジュールを策定し、各議題に割り当てる時間を調整します。
可能であれば会議の開始前に、あるいは会議の冒頭で、アジェンダを明確にして会議の最終目標(ゴール)を参加者全員に伝えておきましょう。
予定よりも議論が早く進行する場合や逆に時間が足りない場合には、スケジュールを調整し、優先事項を設定します。
会議中に忘れてはいけない、最も大切なこと
さて、会議を行う上で忘れてはいけない最も大切なことは、なんだと思いますか?
・自分の意見を分かりやすく伝えること? ・反対意見を論破すること?
いいえ、違います。
最も大切なこと、それは「会議のゴールは、どこに設定されているのか?」ということです。
会議には必ず目的があります。
・すでに判明している課題への対応策を議論する会議 ・いくつかの企画案の中から1つの採用案を決定する会議 ・メンバーから自由なアイディアを求める会議
今日の会議のゴールを意識しながら発言を行うことはもちろん大切ですが、会議が長くなったりすると得てしてその会議の最終目標を忘れてしまいがちです。
そんな時もファシリテーターは、冷静に状況を把握して、常に会議の目標に向けた議論が進行するように、会議を導かなければなりません。
ファシリテーターは、会議を開催する目的を明確にし、今日の会議でどこまでの議論をするのかをあらかじめ十分に意識しておきましょう。
会議の目的を、分かりやすく4つのレベルに分けてみましたので、参考にしてください。
1.意思決定をするための会議
多くの会議がこれにあたると思います。
最終的に、参加者それぞれが今後どのような方向性をもって業務にあたるべきかを明確に示すことを目指す会議です。
このような会議には、意思決定権を持つ管理職や経営側の立場に立つ人間が参加している必要があります。
最終判断を行うためには、必要なデータや情報をあらかじめ用意しておくことも大切となります。
2.意見交換をして、アイディアを出し合う会議
議論を行い、各自の考えや新しいアイディアを出すことが目的の会議もあります。
各人の持つ考えられるアイディアを披露し、別の人からの意見をもらうことで、一人では気付かなかった新しい視点を持つことができます。
このタイプでは、最終結論までは到達しなくても構いませんが、参加者が自由な雰囲気で発言できるように特に注意をする必要があります。
その意味でファシリテーターの能力が大きく会議の成否を左右するとも言えます。
3.情報共有を行う会議
タスクの進捗を全体として確認するなど、情報の共有が主な目的となる会議もあります。
このような会議では、トラブルや想定外の問題が発生していないか、また今後発生する可能性がないかなどに注意し、もしそのような状況が予想される場合には、トラブルを回避するための方法なども議論します。
参加者同士が情報共有を行うことで、信頼関係も高まり、プロジェクト全体を俯瞰的に捉えることができます。
4.士気を高める会議
関係者が直接顔を合わせてコミュニケーションをとることを第一の目的とする会議です。
たとえばプロジェクトスタート時のキックオフや、新メンバー参加時などを想定してもらうとわかりやすいと思います。
または、参加者同士のコミュニケーションがうまくいってないと感じたときなどにも有効な手段です。
このような機会を設けることで、メンバーの信頼関係が高まり、その後の業務も円滑に進めることができるようになるでしょう。
参加メンバーも大きくなりがちですので、ファシリテーターは参加者への連絡や当日の進行などをスムーズに段取り良く行うように心がけましょう。