「人と話すのが苦手」
「沈黙が怖くて会話に自信がない」
そんな人は少なくないと思います。
でも安心してください。
一般に、話し上手と言われる人は「話す内容」よりも相手に合わせて会話をすることができる「会話力」が優れていることが多いもの。
会話にとって一番大切なのは、実は「聞く力」なのです。
今回は会話に苦手意識を持っている人でもすぐに取り組める、聞く力の向上方法を紹介します。
特別なトレーニングやレッスンは必要ありませんので、さっそく今から取り組んでみましょう。
聞き上手は、メリットばかり
あなたの知人や同僚のなかで「安心して話ができる」「ついつい気を許して話してしまう」と感じるのはどのような人ですか?
いつも立て板に水のごとく流暢にしゃべる人は会話上手なようですが、
でいつも自分の考えばかりを滔々と述べてばかりでは、相手の信頼を得ることは難しいものです。
ビジネスの場でも、いつも論理に無駄がなく自分の思った通りに交渉をまとめようとする人に対しては、ついつい反発心を持ってしまうのが人間というものでしょう。
会話からお互いの信頼関係や気持ちの良い人間関係を構築するためには、そんな言葉巧みな人よりも、どちらかといえば「落ち着いて会話ができる」「自分の考えをしっかり聞いて理解してくれる」ような人のほうが向いているのです。
聞き上手な人は、ビジネスでも恋愛でも友人関係でも、様々な場面で良好な人間関係を築き、相手にとってよき理解者となることができます。
さらに、良い聞き手は人の気持ちを動かしたり自分自身を応援してもらう機会が増え、その結果として自分自身の問題解決や目標達成にも役立つのです。
これであなたも聞き上手
相手の話は口角を上げて聞こう
「笑顔」これは、人の話を聞く時に一番大切なポイントです。
笑顔は「あなたを受け入れてますよ」「敵意は持っていませんよ」というサインになるので、相手も断然話しやすくなります。
自然と笑顔を作ることが得意な人もいれば、それが苦手な人もいるでしょう。
特に初対面だと、緊張して顔がどうしてもこわばってしまうという人も多いかもしれません。
そんな方は「口角をあげること」だけでも意識してみてください。
無理に笑顔が作れなくてもそれだけで表情が和らいで、自然に相手に安心感を与えることができます。
そして余裕が出てきたら、相手の話に対する自分の気持ちを、表情で「わかりやすく」表現してみてください。
少し大げさに驚く
少し大げさに笑う
少し大げさに困った顔をする
そんな表情で話を聞いてくれるあなたに対しては、相手もうれしくてついつい本音を話してしまうことでしょう。
相槌は合いの手。タイミングよく声に出して
会話をする相手に対して、あなたがしっかり話を聞いているというメッセージを伝えるために、笑顔の次に効果的なのは相槌(あいづち)です。
しかも、首を縦に振るだけではなく相槌を声に出すことが、相手にメッセージを伝えるうえで大変効果的です。
例えば、次のようなケースを考えてみてください。
あなたが相手の顔を見ていたとしても、無言でうなづきもしなかったら、相手は「自分の話を聞いてくれているのかな」と不安になるでしょう。
逆に、
会話中にうなづきながら「うん」「はい」「そうか」「なるほど」と適切な相槌をうてば、相手はあなたが「ちゃんと聞いてくれている」と感じて安心するでしょう。
相手の会話のスピードに合わせてタイミングよく、しっかりとうなずきながらの相槌を声にも出すこと。
これだけで相手の目には、あなたが「よき聞き手」として映ってくることでしょう。
共感しているメッセージを伝えること
人は話をするときは、同時に自分の気持ちを分かってもらいたいと考えています。
自分の発言が相手に受け入れられるのかをとても気にしていますから、あなたが相手に共感をしてあげれば、相手は安心して自分の本心を話すことができます。
相手が自分の感情を話してきたときに、まずは共感を示すようにすれば、相手との距離をぐっと縮めることができるでしょう
A「もう、忙しすぎて仕事が回らないよ!」
B「どうしてそんなに忙しいの?」
これでもいいのですが、これでは相手に共感を示すという意味では不十分です。
もしかするとAさんは、あなたが自分のことを仕事ができない人間だと見下しているのではないかと警戒してしまうかもしれません。
A「もう、忙しすぎて仕事が回らないよ!」
C「ほんとに忙しそうだね。どうしたの?」
相手に共感を示す会話はこのようになります。
これならあなたは相手に対して共感を示しつつ、相手の話を聞く準備ができていることを相手に伝えることもできます。
なおここで大切なのは、共感と同意は異なるということです。
共感は相手の気持ちを理解することにつながりますが、あなた自信がそう感じているのかどうかは別問題です。
これを間違えると、例えば怠け癖がある同僚のさぼりの口実にいつも付き合う羽目になったりと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性が出てきます。
上の会話でも、あなた自身が忙しいかどうかには触れず、相手の気持ちに共感を伝えている点に注意してください。
声のトーン、まずは相手に合わせてみよう
これはミラーリング効果の一種でもあるのですが、会話の際にテンポや声のトーン、音量を相手に合わせることで、親近感を深めたり相手との心理的な距離感を縮めることができます。
研究によれば、話の聞き手は自分とほぼ同じようなテンポで話す人を、より有能だと判断する傾向にあることが示されています。
相手の会話のテンポを観察し、相手がゆっくりと話をするならこちらもゆっくりと、
相手がテンポよく話をするならこちらも同じ速さで、息を合わせて会話をするようにしましょう。
声の大きさについても同じです。
相手が大きな声の人であれば、こちらも頑張って大きめの声で話しましょう。
相手がぼそぼそとつぶやくような小声で話す人であれば、あなたが大声を出すと相手は話しずらくなりますので、同じようなボリュームになるよう心がけてください。相手に安心感を与えることができます。
ビジネスシーンへの応用
1.ミーティング
職場の同僚・後輩に対して信頼を得たいのであれば、声のトーンはやや低めを心がけるとよいでしょう。低い声は安定感、信頼感、慎重さといった印象を、相手に対して与えます。
2.電話
電話は実際よりも低い声で相手に聞こえるという傾向があるため、意識的に声をやや高めに発声するようにしましょう。相手にも伝わりやすい声のトーンになります。
3.会議やプレゼン
会議やプレゼンでは、相手が近くにいる場合でも、倍くらい遠くにいる相手に自分の声を届けるような気持ちで、丁寧に発声するとよいでしょう。
「その先に、声を届ける」という気持ちが大切です。声がまっすぐ通るため、相手に対して自信を感じさせることができます。
沈黙を恐れる必要はない
会話をしているときに言葉が途切れ、沈黙が訪れる瞬間があります。
この沈黙が嫌いなため、知らない人と話すのを避けたり、自分は会話するのが苦手だと感じている人も少なくないでしょう。
しかし会話の中の「沈黙」はデメリットではなく、多くのメリットがあります。
例えば相手と会話をしているとき淀みなく話されると、ふと思ったことや、聞きたいことなどについて口を挟む隙間が全くありません。
逆にゆったりした間があれば会話に参加しやすく、お互いに会話の中に信頼感と安心を生み出すことができます。
もし相手が黙ったら、話し始めるまで見守るようにしましょう。
沈黙はこれまでの会話を整理しているか、答えを考えている状況なので、相手の考えがまとまるまでこちらも黙って待つのが基本です。
その時「あなたの話を待っていますから、ゆっくり考えてよいですよ」という雰囲気は伝えるように注意しましょう。
沈黙によって会話に適度な間が生じれば、コミュニケーションの流れはより良いものになるでしょう。
もしも沈黙が長かった場合は、こちらから質問をすることで相手の考えを整理させることができます。
「ところで、さっき言ってた○○についてもう少し詳しく教えてくれる」
「ところで、どうやったらそんなにうまくいったの?秘訣は?」
それによってむしろコミュニケーションが盛り上がることもあります。
沈黙を恐れることなく、ゆったりとした気持ちで会話を楽しめるように心がけてみてください。
まとめ
いかがでしょうか。
無理に会話を盛り上げようとしたり、自分をよく見せようと意識しすぎる必要はありません。
大切なのは心から相手の話をよく聞き、気持ちを理解しようという姿勢を持っているという事だと、お分かりいただけたのではないでしょうか。
SNSやオンラインでの言葉のやり取りが多くなった現代ですが、対面での会話は相手との関係を築くためにやはり大切なものです。
不必要に構えすぎずに、相手のことを思いやりながら、会話を楽しむようにしてみませんか。
そんなあなたの気持ちはきっと相手にも伝わるはずですよ。