あなたは「キャリアの棚卸」って聞いたことありますか?
転職活動を始めようとする際に、いきなり求人サイトからエントリーを始めるのは危険です。まずはこれまでの自分のキャリアを整理して、強みやセールスポイントを見極める戦略を立てましょう。
そのための第一歩が「キャリアの棚卸」になります。
なぜ棚卸をするのか、どのような効果があるのか。今回はキャリアの棚卸の必要性やそのやり方について解説してみたいと思います。
キャリアの棚卸とは?
「キャリアの棚卸」とは一言でいえば、これまでの自分のキャリアをすべて洗い出す(書き出す)作業になります。
その際には、あなたが社会人になってから、どのような職場(会社・部署)でどのような業務をこなしてきたのか、出来るだけ詳しく具体的に「書き出す」ことが大切です。
「何となく覚えている」ではなくて、第三者にもわかるレベルで丁寧に、具体的に書き出さなくてはいけません。
その作業を進める中で、自分のこれまでのキャリアを通して、いったいどこが強みとなり、セールスポイントになるかを見極める作業が大変重要なのです。
「どうせ自分には、セールスポイントなんてないさ」と悲観的になってはいけません。
たとえあなたがこれまで、ありきたりの業務に従事していたとしても、その中でどのように工夫し業務を効率化してきたのか、また業務を通じてどのようなスキルを身に着けてきたのかを冷静に思い出し、丁寧に書き出すことが大切です。
このように自分の経験を掘り下げて、見つめなおすことで自分の強みや得意なことを見つけ出し、どのような環境でどういった業務についていた時にどんなスキルを身に着けることが出来たのか。またどんな業務に自分が楽しく成長できたのかを冷静に分析することが出来ます。それがわかれば次の転職先のイメージもより具体的になってくることでしょう。
それからもうひとつ私がお勧めしたいのは、学生時代のアルバイトや大学の学び・専門分野や趣味も立派なキャリアになるということです。あなたがこれまで経験してきたことはすべて今のあなたを形作る糧になっているということを忘れないでください。
このように丁寧に自分のこれまでの経験を振り返ることができる「キャリアの棚卸」作業は、転職活動を成功させるために必須のステップとなりますので、軽く考えることなく、時間をかけてしっかりと行ってください。
キャリアの棚卸でわかること
自分の経験と、あなただけの強みを俯瞰できる
キャリアの棚卸をことでこれまでの自分の経験をしっかりと俯瞰することが出来ます。なおその際に重要なことは、ひとつひとつの経験を洗い出したら、今度はその中の複数の経験を掛け合わせ、どんなスキルがあなたの中に形成されているのかを考え直すことです。
例えば、
製品開発×カスタマーサポート=製品知識に詳しいサポート
塾講師×経理=経理業務のインストラクター
運送業×企画部門=社外イベントの立案
SE×英語力=海外スタッフとの調整
など、あなたの経験次第でその組み合わせは様々なものになるでしょう。
これまでの経験を「シングル・キャリア」のままとらえていては、あなたのキャリアは「その他大勢」のものでしかありません。しかしキャリアの掛け算をすることで「あなただけにしかできないスキル」が複数生まれてくるわけです。ひとつひとつの当たり前の経験から、当たり前ではないあなただけのキャリアを見つけ出すことが、転職活動の強みとなることをしっかりと意識してください。
どんな転職先を目指すか、戦略立てのきっかけとなる
求人票を見るときにただ単に、給料が高いとか勤務地が希望通りとかいった条件面だけで判断していませんか?または漫然とこれまでと同じ職種であればいいやと曖昧に考えていませんか?
転職を成功させるためには、自分の知識・経験やスキルを活かせて、なおかつ自分のことを高く評価してくれる企業を探すことがとても大切です。
キャリアの棚卸とキャリアの掛け算の発想を持つことで、自分の強みをしっかり把握できれば、条件だけで判断する転職→入ってみたら思っていたのと違う、といったミスマッチを未然に防ぐことが可能になります。
転職で成功するには、あなたの経験を高く評価してくれる職場を見つけることがとても大切です。そして、そのような企業に出会うことが出来れば、採用後もきっとあなた自身が成長を続けることができるでしょう。
エントリーシートのベースを作れる
自分のこれまでの経験をしっかり見つめなおして丁寧にキャリアの棚卸を行えば、それはそのままエントリーシートや職務経歴書に生かすことが出来ます。
なお職務経歴書を書く際にひとつ注意すべきことは、丁寧に書こうと意識しすぎて、これまでのキャリアをすべて同じボリュームでだらだらと書き連ねないようにということです。
特に社会人経験の長い方は注意が必要ですが、あなたの経歴の中でどこが強みでありセールスポイントになるのかということをしっかり意識して、人事担当者にその部分に注目してもらうように書類を作成しなければなりません。
職務経歴書を作成する際には十分に注意して下さい。
丁寧な棚卸作業と強みの見極めがしっかりとできていれば、職務経歴書を作成する際にも必ず役に立つでしょう。
面接試験の対策になる
そしてもうひとつ、キャリアの棚卸にはうれしい効果があります。それはキャリアの棚卸が面接対策にもなるということです。
あなたが経験してきた業務のどの部分が売りになり強みになるかをしっかりと見極めて転職先を吟味するということは、そのまま面接時の志望動機やセールスポイントを説明する際の強い武器になるのです。
面接でこのような質問が出たときに、思い付きで答えるのと、これまでの経験を踏まえて熟考したうえで自信をもってアピールするのとでは、面接官の印象は全く異なりますからね。
まとめ
いかがでしょうか。キャリアの棚卸とは、なんとなくこれまでの業務を振り返ることかなと考えていた方も、その必要性について十分に理解を深めていただけたのではないでしょうか。
キャリアの棚卸シートについては、他のサイトでもいくつか紹介されているものがありますので、ここでは次の機会にしたいと思いますが、このように目的意識をしっかり持って自分のキャリアを見つめなおすことが、転職活動で成功を収めるためにとても重要な作業であるということがわかると思います。
あなた自身は「だれでもやっているつまらない仕事」しか経験してこなかったと考えているかもしれませんが、そのような人こそ、しっかりとキャリアの棚卸をして、自分の強みを見極めてほしいと思います。
あなたのスキルを必要としている企業は必ずあるのです。そんな企業に早く出会うためにも、まずはあなた自身のキャリアの棚卸をしっかりとおこない、自信をもって転職活動に取り組んでください。