ロジカルシンキングとは?|論理的思考を鍛える4つの方法

論理的思考を鍛えるロジカルシンキング ビジネススキル

ビジネスにおいては、論理的に話す力が大切です。論理がない方は、他人を説得することができず、ビジネスで大きなハンデを背負うことになります。

今回は論理的思考方法、「ロジカルシンキング」について解説します。

ロジカルシンキングとは

ロジックとは論理や論法を意味する言葉で、ロジカルシンキングとは「論理的な思考」のことをさします。

ロジカルシンキングとは、物事や情報を「根拠」と「結論」に分けて捉え、矛盾のないように筋道を立てて結論を導き出す思考方法のことを意味します。

では論理的な思考が成り立っているかどうかについて、どのように判断すればいいのでしょうか。それは、三角ロジックが成立しているかを確認するとよいでしょう。

論理的な主張を支える、データと理由付け
三角ロジック | zensala

三角ロジックは、三角形の頂点に主張(または結論)として「だから~である」を置きます。

三角形の頂点を支えるために、底辺の両サイドを支えているのが、説得材料(データ)と説得理由です。

データと説得理由に客観性があると、三角形の底辺を支える論拠がしっかりしたものとなり、論拠と結論のつながりが明確で矛盾を感じさせないものであれば、論理的な思考であると言えるでしょう。

物事を整理・分析して論理的に考えるロジカルシンキングを意識すれば、ビジネスシーンに限らず日常生活でも、筋道を立てて物事を考え相手に伝えることができます。

ロジカルシンキングの3つのメリット

メリット①:問題解決能力が身につく

問題解決ことは、問題や課題を見つけ、その原因を分析し、解決策を考え、実行することです。

ロジカルシンキングでは、物事を体系的に整理し、因果関係を正確に把握することができるので、問題解決能力も大きく向上します。

ロジカルシンキングでは問題解決力が身につきます。

メリット②:提案力とコミュニケーション力が向上する

提案力は、自分の考えを上手に話すことではありません。相手の考えていることや心情を理解し、相手が知りたいことを伝えることが大切です。

つまり「伝える力」と同様に「理解する力」や「聞く力」が大切なのです。

相手の想いを十分理解し、相手が抱いている課題を解決するための自分なりの提案を、筋道立てて伝えられれば、あたなの信頼度は増すでしょう。

ロジカルシンキングでは、相手が抱いている課題を論理的に分析して理解するようになるため、相手の気持ちを考えた提案ができ、結果として提案力の向上につながります。

ロジカルシンキングは提案力やコミュニケーション力の向上に繋がります。

メリット③:生産性が向上する

課題を整理しながら筋道立てて思考すと、判断に迷う事が減り、意思決定が速くなります。

そのため、作業の無駄が省け、効率化に成功し仕事量が減るので、今まで手が回らなかった作業に費やすことが可能になりますし、新たにアイディアを練る時間が作れ、結果として生産性の向上につながるのです。

ロジカルシンキングは、生産性の向上に繋がります。

ロジカルシンキングを鍛える4つの方法

ジグソーパズルを組み立てる写真

方法①:具体的な言葉に置きかえる

まず、日々の会話の中の「抽象的な言葉」を「具体的な言葉」に変えることが、論理的思考のトレーニングになります。
例えば、 普段こういった言葉を使ってしまう人は具体的な言葉への置き換えを意識しましょう。

・「目標達成に向けて頑張ります」 →「○○という目標を達成するために、○○を実行します」
・「できるだけ早めに仕上げます」 →「○○までに提出します」

「頑張ります」や「早めに」といった抽象度が高い言葉は抽象的で、人によってそのレベル感は全く異なります。そのため、自分の考えと相手の捉え方に、ギャップが生じてしまいます。

全ての人が同じイメージができるように伝えるためには、より具体的に言葉を定義する必要があります。

方法②:主観や先入観にとらわれない

ひとはだれでも「思考の癖」があり、知らず知らずのうちに身についた主観や先入観にとらわれて物事を考えがちです。

そのような自分の思考の癖に気づくことで、物事を客観的にとらえることができます。

物事を客観的にとらえることは、後で述べる帰納法、演繹法を利用して論理的思考を行う際に大変重要なポイントとなります。

なお、思考の癖の改善には、「クリティカル・シンキング(批判的思考)」という、意識的に自分の考えを批判的にみる思考法の習得も有効です。


クリティカルシンキングとは?|批判的思考を鍛える5つの方法
クリティカルシンキング(批判的思考)は認識した情報を批判的に見ることで、物事の本質を見極め思考の客観性を高める思考法です。クリティカルシンキングを鍛え、既成概念にとらわれない新しいビジネス手法を入手しましょう。

方法③:本質的課題を忘れない

今、取り組んでいる業務は、「どんな課題を解決するためのものか」つまり、課題の本質を常に念頭に置き物事を考える習慣をつけましょう。


「本質的な課題」をしっかりと押さえていなかったために、業務が効率的・効果的に進まない例は多々あります。
あなたも、このようなケースに心当たりはないでしょうか。

・作業をしているうちに作業自体が目的のようになって、本来の目的を見失う
・分析ツールを使いこなすことに意識がいき、結論が良くわからない資料になった
・響きの良いキャッチフレーズに満足して、具体的な解決方法が提示されていない
・一時しのぎの対処療法で満足してしまい、原因を分析した抜本的解決策を見出せていない

勉強の前に机の整理を始めたら、机の整理に時間をかけ、それだけで満足してしまった小学生のようですねww。

課題解決のためには、「本質的な課題」を見失わずに、解決方法を検討することが大切です。

そのためには、課題を細かく分析して考えるようにすることがとても有効です。

・○○を達成するためには、何を、いつまでに、どの程度、いくらかけて?実行すればよいか?

さらに課題の背景にも思いを巡らすことも有意義です。

・この課題にはどのような背景から生じているのか、この課題はどこから出てきたものなのか?

といったように、課題を分解して考えると、本質的、根源的な課題に気づきやすくなります。

方法④:主張と根拠の骨格を作る

「本質的な課題」を意識出来たら、次にその課題に対する自分なりの「解決策(=自分の主張)」を考えます。

その際に、主張に説得力を持たせるためには「なぜそう言えるのか?」という根拠が大変重要となります。

主張:「~だと思う」
根拠:「なぜならば~」

論拠がしっかりしているほど、あなたの主張は他の者にとってわかりやすく、説得力を増すことになります。

次に、主張と論拠を組み立てるため役立つ論理的推論方法を2つ紹介します。

ロジカルシンキングで重要な2つの論理的推論方法

ここでロジカルシンキングを活用するために役立つ、二つの推論方法(帰納法と演繹法)を紹介します。

帰納法

帰納法とは、「個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする」論理的推論の方法です。

帰納法の前提となる物事や事例は、過去の経験則や統計学的な側面から用いられる傾向にあります。

帰納法の具体例

次のような3つの事例があったとします。

事例1:イタリア料理の特集がテレビで流れている
事例2:イタリア料理がSNSの検索ワードでトレンド入りしている
事例3:イタリア料理に関する本が書店にたくさん並んでいる

これらの事例からどのような論理展開ができるでしょうか。各事例に共通する情報・ルールに注目して推論します。

共通する情報の1つは「イタリア料理」です。そして、「テレビで流れている」、「検索ワードでトレンド入りしている」、「料理本が書店にたくさん並んでいる」ことから、注目されている、人気である、といった共通点が浮かび上がります。

これらを総合して導かれる結論は、「イタリア料理が人気がある/流行している」ということでしょう。

帰納法とは
帰納法 | zensala

このように、複数の物事や事例から共通点を見つけ、これらを統合して結論を導くのが帰納法です。

ただしこれら3つの事例から、イタリア料理が注目されているであろうことは予測できますが、直ちにイタリア料理が流行しているとは言い切れません。多くの事例があるほど説得力が増すのも帰納法の特徴です。

演繹法

演繹法は、「一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る」論理的推論の方法です。

帰納的な思考では、各事象に共通する情報を抽出し、そこから推論して結論を得ました。これに対して演繹法では、「AならばB」という事実と「BならばC」という事実を足し合わせ、「AならばC」というように結論を得ます。

演繹法の具体例

次の2つの事実から、どのような論理展開ができるでしょうか。

事実1:鳥は空を飛ぶ
事実2:カラスは鳥である

前提となる事実は、この場合いずれも一般論的な情報です。ここから各事象を関連付けて思考・推論します。

「鳥は空を飛ぶ」という事実と「カラスは鳥である」という事実を足し合わせる、関連付けて推論すると、「カラスは空を飛ぶ」という結論が導かれるはずです。

演繹法とは
演繹法 | zensala

このように、複数の物事や事例を足し合わせ(関連付け)、結論を導く考え方が演繹法です。

しかしダチョウやニワトリはこの例に当てはまるでしょうか。両方とも鳥であることに間違いはありませんが、空を飛ぶわけではありません。

帰納法と演繹法の注意点

いずれも前提となる事実や一般論(ルール)に誤りや偏りがなく、正当性があることが大切です。いずれの思考法でも前提となる情報が正しくなければ、正しい結論を導くことができません。

また、論理の飛躍にも注意が必要です。前提となる事象がもつ情報から導かれることなのか、自身の想定する仮説(結論)への強引な結び付けを行っていないかなど、慎重に進めましょう。

このように前提となる物事や事例の「事実としての質・量」が大切となります。共通点を見つけ出す事象の内容に誤りや偏りがあれば、正しい結論は導かれません。また、前提となる物事や事例の量が多ければ、それだけ精度の高い推論ができます。

正しい前提と正しい論理展開があってはじめて、説得力のある結論となります。

ロジカルシンキングのデメリット

ロジカルシンキングは仮説を論理的にするので、多様性に対応できないデメリットがあります。商品の企画を論理的思考に基づいて練り上げた結果、どこも個性がなく同じような内容になってしまうわけです。

これまで経験のない未知の部分の分野ではロジカルシンキングしても論理的な前提や根拠が明確になっておらずうまく整理することができずうまくいかない場合があります。

また一度出した結果に対し同意を得られていても、時間の経過とともに有効な新しい考え方がでて変化することもあります。

ロジカルシンキングは物事を論理的に説明するために有効な方法の一つですが、新たにアイディアを出すよりも仕事の効率化や業務を改善することに向いていると言えるでしょう。

ラテラルシンキングとは?|3つの例題で、ロジカルシンキングとの違いを理解する
ラテラルシンキングとは、どんな固定概念や前提条件にも支配されることのない自由な思考法のことです。ラテラルシンキングによって思考の前提を取り払うことで、新しい視点から課題に取り組み、イノベーションが生まれやすくなります。

まとめ

いかがでしょうか。

ロジカルシンキング(論理的思考)は、広告・連絡・相談、プレゼンテーション、会議での発言などビジネスシーンのあらゆるタイミングで大変役立つ力です。

あなたも論理的思考を身に付け、ビジネス上の課題を幅広く解決できるようになりましょう。

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