UXとは、(User experience:ユーザーエクスペリエンス)の略で「ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験」を指します。
UXはもともとWeb業界でうまれた言葉であるため、UXはUⅠ(ユーザーインターフェース)と対比して説明されます。
しかし本サイトでは、IT分野で使われる狭義のUXではなく、企業マーケティングなどに関わるビジネスマン向けに、広義のUX(ユーザーエクスペリエンス)ととらえ、その重要性などについて解説したいと思います。

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?
UⅠとは(User Interface:ユーザーインターフェース)の略の略称です。
UⅠとは:(User Interface:ユーザーインターフェース)の略。例えばWebサービスの場合、PCやスマートフォンに表示されるデザインやフォントやボタンの見やすさなど。

一方、UXとは(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)の略称です。
User=使用者
利用者によるexperience=経験,体験
つまり、UX(ユーザーエクスペリエンス)は、直訳すると『利用者の体験』といった意味合いで、ユーザーが製品やサービスを通して得られる体験や経験のことを意味します。
UXとは:(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)の略で、ユーザーが製品やサービスを通して得られる体験や経験のこと。
なぜ今、UXが企業マーケティングにおいて重要視されているのでしょうか?
従来のサービスの考え方
従来型の発想では、ユーザーに対して企業が提供するのは、あくまでも購入対象となる商品そのものです。
例を挙げて考えてみましょう。
週末に友人に招かれてパーティーに参加することになり、ワインやシャンパンなどアルコールをお土産に持参するケースを思い浮かべてください。
従来型のサービスでは、企業は消費者に対して、その製品の自体の品質、味、価格など、いわゆるカタログスペックをいかに正確に伝えかに重点が置かれています。

UX的発想によるサービスの考え方
ではUXの考えに基づいてみましょう。
UXはユーザーが体験すること、感じることのすべてを意識することが大切です。
商品購入前の消費者動向は、以下のように想像できます。
・SNSやWebサイトをみて、製品を認知する。
・口コミサイトでほかの消費者からの評判を確認する。
・ホストの好みを想像して、どんな飲み物が喜ばれるか吟味する。
・テンポへ赴き店員やソムリエの話を聞いてみる。
・ボトルやラベルのデザインにも注目する。
・持参する際にすぐ飲めるよう、温度に注意してみる。
・どんなつまみが合うか考え、一緒に購入する。
パーティーのことを考えてワクワクしている様子が想像できませんか?
大切な友人宅に招かれたパーティーであれば、セレクトしているときから楽しい時間はスタートしています。
消費者の想いを想定して、商品選びやパーティー準備から楽しんでもらおうと消費者志向で発想すること。また、素敵な時間を過ごしたい、パーティーを楽しみたいと考える消費者の気持ちを大きく揺さぶることができれば、消費者心理をつかむことができ、商品購入へつなげることができるのです。
消費者の気持ちをできるだけ具体的に、自分事として想定できることが、UX的マーケティングにおいては重要となります。

このように消費者の楽しい時間や体験をいかにサポートするかといった発想が、UX的マーケティングといえるのです。
最終的に提供するのが「ワイン」であったとしても、購入まで、あるいは購入後に感じる付加価値を生み出すことができれば、UX的マーケティングは成功といえます。
一例ですが、スマホ一つで気軽に、指定の時刻に、指定の場所へ、好みに合わせた飲み物を適温で、おつまみやグラスや、そして花束やパーティーグッズ、サプライズプレゼントなどと一緒に届けてくれるサービスがあったらどうでしょうか?
使い勝手の高いサービスとして人気を博すかもしれませんね。
UXが重視されるようになった背景
UXが重要視される背景には、商品自体の差別化が難しくなったことがあります。
インターネットやスマホが普及した今、だれでもいつでも必要な情報はすぐに検索できるようになりました。
そのため商品に対する情報には大差がなく、人々のものに対するこだわりは以前よりも薄れています。
現代は、誰でも簡単にモノも情報も簡単に入手できる時代なのです。
そんな中、消費者意識も変化しています。
従来のように製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受するだけではなく、個別の事象とを複数組み合わせた一連の体験を対象とした消費活動を重視するようになってきました。

商品の品質や機能のみにこだわるのではなく、自分の好きなこと、楽しいこと、自分らしい時間の過ごし方といった、体験を重視するようになっているのです。
「モノ消費」から「コト消費」へ視点が移ってきたといえるでしょう。
モノ消費:消費者がお金を使う際に、商品の所有に価値を見出す消費傾向のこと。
コト消費:アクティビティやイベント、リゾートホテルなど、所有では得られない体験や経験に価値を見出す消費傾向のこと。

UXによる3つの成功事例
そんな消費者ニーズの変化に合わせるように、企業や店舗もユーザーの体験や経験に焦点を当てた商品・サービスの開発を重要視するようになっているのです。
ではUXの観点からマーケティングを行い、成功した代表的事例を3つ紹介しましょう。
非日常体験を売ることで成功した、スターバックス

スターバックスのCEOのハワード・シュルツ氏は、「スターバックスはコーヒーを売っているのではない。体験を売っているのだ」と言っていました。
スターバックスは、体験デザインでブランドを作り上げた象徴的な企業といえます。
単にコーヒーを提供するのではなく、おしゃれな店内でコーヒーの専門家が丁寧に淹れたコーヒーを味わうというリッチな体験そのものを提供するという考えです。
スタバのロゴや、グラフィック、パッケージ、空間造りなど随所にみられるこだわりが、消費者がこれまでに経験したことのない新たな体験を生み出し、スタバを唯一無二のブランドに育てたといえます。
非日常、リッチな空間を提供
従来にない接客スタイルで、特別感を演出
自分にも作れそう!と思わせた、クックパッド

動画によるレシピサイトであるクックパッドは、今では国内のみならず海外でも大変多くのユーザーに利用されています。
その特徴はいくつかありますが、まずメインコンテンツの料理レシピの数の豊富さは圧倒的と言えます。どのレシピ動画もテンポが良く質が高いため、自分にも簡単に作れそう!と思い、料理が苦手でも動画を見て自分もさっそく作ってみようと感じた方も多いのではないでしょうか。
会員からのレシピ投稿によりこの数は毎日増え続けています。そしてほかのユーザーからのコメントがたまると話題のレシピとして取り上げられるため、質の高いレシピを増やすきっかけとなるとともに、ユーザーからのレシピ投稿を促すきっかけともなっています。
また有料会員はレシピの絞り込みができたり、作った料理を記録することで、個人のユーザーの健康状態や好みに応じた情報提供もできるようになりました。
料理を動画で疑似体験し、自分も作りたくなる
履歴や他ユーザーの反応をみて、何度も作りたくなる
直感的で使いやすいと人気になった、LINE

今では世界中の多くのユーザーのコミュニケーションツールとして定着したLINEですが、既存のメールソフト、メールアプリとは異なるデザインや機能が特徴です。
従来の絵文字ではなく、スタンプ機能により感情を視覚的に表現できるようになりました。
相手と自分のメッセージを左右に並べて吹き出し内に表示する機能は、送信トレイや受信トレイを確認する必要もなく、実際の会話に近い体験ができます。
また写真や画像をメッセージとともに共有することもでき、従来のメールソフトでは体験できなかった、情報交換や意思疎通ができるようになったといえるでしょう。
スタンプで、ユーザーの気持ちを的確に表現
一つの画面で、会話のやり取りをリアルに体験
UX的発想を身に付ける
UXデザインの基本は「ユーザーに体験を提供する」発想から始まります。
商品そのものではなく、ユーザーは体験を求めていることを強く意識することが大切なのです。
そして、企業が提供するサービスで、ユーザーはどんな体験をすることができ、どんな感情を抱くことができるのかを、常に考えるようにしましょう。
ユーザーにとって価値ある提案となるため、UXマーケティングで重要な6つの要素を下に図示します。参考にしてみてください。

そして具体的な形に落とし込む際には、以下の2つを忘れないようにしてください。
どんな時に、ユーザーはその体験を求めるのか
ユーザーはその体験をどんな時に利用したいと思うのかを考えましょう。
仕事の時なのか、休みの時なのか、一人の時間か、家族と過ごす時か、様々なシーンを想像してください。
自分がユーザーになって考えてみるなど、常にユーザー目線に立って発送することがUXでは重要です。
どんなユーザーが、その体験を求めるのか
次に、 どんなユーザーがその体験を利用するのかを考えてみてください。
子供なのか、若い学生なのか、お年寄りなのか、具体的に絞っていきましょう。
できるだけ具体的にユーザーを意識することができれば、それだけユーザーにとって満足度の高いサービスとなり、それはユーザーからの反響を生み出すことができるのです。

まとめ
UX的発想によるマーケティングを身に付ければ、あなたのビジネスも、きっとブレイクスルーを迎えることができるでしょう。
