ビジネスコミュニケーションとは、社内に限らず顧客も含む、すべてのビジネス関係において必要なコミュニケーションを指します。
ビジネスコミュニケーションは、気心知れた家族や友人とのコミュニケーションとは異なります。
ビジネスコミュニケーションにおいて、認識や理解にずれが生じてしまうと業務が円滑に進まないだけではなく、ビジネス上の損失つながることもあります。
「ビジネスコミュニケーションは、普段のやり取りと何が違うの?」
「ビジネスコミュニケーション力はどのように高めればよいの?」
そんな疑問に、この記事ではお答えします。
ビジネスコミュニケーションが、なぜ重要なのか
我々は日常のさまざまな場面で、コミュニケーションによって情報のやり取りを行っています。
もしコミュニケーションをうまくとることができなければ、家族や親しい友人との人間関係も円滑に維持することができないかもしれません。
ましてや、他人であるビジネスメンバーとの関係維持においては、円滑なコミュニケーションをお互いに意識し、正しいスキルを身に付けておくことが大切です。
ビジネスの場面で成果を上げるためには、関係するメンバーが目標や価値感、自らの状況を正しく理解したうえで業務に取り組むことが必要で、そのためには正しいビジネスコミュニケーションが不可欠なのです。
また、社内のビジネスコミュニケーションが円滑になれば、スタッフの承認欲求は見たされ、エンゲージメントの高まりをもたらすといったメリットもあります。
さらに、Z世代を対象とした意識調査で、彼らは仕事内容や出世よりも職場の雰囲気や公平な職場環境に高い関心を持つといった結果もあります。
優秀な若手人材を獲得するためにも、ビジネスコミュニケーションの重要性は高いと言えるでしょう。
ビジネスコミュニケーションを高める目的
ここで、ビジネスコミュニケーションを高めることの目的を整理してみましょう。
情報の共有
正しいビジネスコミュニケーションを意識すると、情報共有が正確に行われるようになります。
情報共有が活発になると、最新の情報が関係者全体に届きやすくなります。
関係者の間で認識のずれや誤解が生じた場合や、関係者間に誤った認識が伝わっていたとしても、ビジネスコミュニケーションがしっかりとれていれば、誤解に気付き正しい情報へのアップデート作業が容易になります。
信頼関係の構築
社内・社外の関係を問わず、情報の伝達や認識の共有が円滑に進むと、双方の信頼感が生まれやすくなります。
信頼関係が生まれると、そのことでより円滑なコミュニケーションが醸成され、さらに情報伝達がスムーズになります。
なお、ビジネスの場で信頼関係が構築されると、自分が考えた新しいアイデアや、ビジネス上の課題提起を、メンバーが発言しやすくなるというメリットも生まれます。
さらには職場のエンゲージメント向上や、離職率の低下といった効果も期待できます。
生産性の向上
ビジネスコミュニケーションを高めると、業務ミスや業務の停滞が改善され、業務が円滑に進みます。
また新たなビジネスのアイディアを周囲に対して積極的に発言しやすくなり、このような風通しの良い雰囲気は、新たなビジネス発見のきっかけにもつながるでしょう。
また日頃からスムーズに業務を進めていると、職場の上司や同僚、あるいはクライアントからの信頼獲得にもつながります。
特に顧客との関係性が良くなれば、提案や交渉も円滑に進み、契約など直接的な成果も見込める可能性が高まります。
ビジネスコミュニケーションの3つの能力
次に、ビジネスコミュニケーションにおいて大切な3つの能力を具体的に紹介します。
聴く力
聴く力とは、相手が伝えようとしている内容を過不足なく聴きとる力です。
過不足なくとは、相手の話の中に含まれる情報を「取捨選択」することを意味します。
そのためには相手の話す内容をよく聴き、理解し、情報を整理することが大切です。
また言葉以外にも相手の表情や雰囲気、仕草などにも注目し、何を伝えようとしているのか、その心情までも理解することが大切です。
このように、会話を表面的に把握するだけでなく相手の意図まで洞察できれば、高い傾聴力を持つと言えるでしょう。
なお高い傾聴力のためには、話す側と聴く側との双方の信頼関係も大切であることを忘れないでください。
伝える力
伝える力とは、自分が伝えなければならない事柄や主張を、相手に分かりやすく明確に伝える力です。
そのためにはまず、内容・キーワード・話す順番などを整理して、ロジカル(論理的)に説明することを意識するのが大切です。
ただし、それだけでは本当に大切なことが相手の「心に」響かない場合もあります。
時には、相手の立場や考えを推察し尊重しながら発言するするなど、相手に寄り添った伝え方を工夫することも重要です。
質問する力
質問する力とは、相手が話した内容のうち不明点や疑問点を確認する力です。
適切な質問を投げかけることで、相手の発言情報を整理し、不足している情報を補うことができます。
質問の仕方がうまくないと、確認したい内容からずれた回答が帰ってきたり、必要な情報を得ることができないことになり、誤った判断につながる結果になります。
また相手の立場や状況、その時の雰囲気なども勘案し、相手の気持ちに寄り添った問いかけをすることが、必要な情報を得るためには大切であるといえます。
「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の使い分け、あるいは5W1Hなどを意識しながら、より効果的な質問ができると良いでしょう。
ビジネスコミュニケーションを高める方法
では、ビジネスコミュニケーションを高めるためにはどのような点に意識すればよいでしょうか。具体的にみてみましょう。
傾聴力を高める
傾聴力を高めるには、まず相手の話に共感し、真摯な姿勢で話に耳を傾けることが大切です。
相手の立場に立って「共感していること」「理解していること」を示しながら聴くことを心がけましょう。
適切なタイミングでの相槌や、アイコンタクトも、共感を表すための非言語的な表現方法として効果的です。
さらに、聴く側が声のトーンや話すスピードを相手に合わせることも、話す側の安心感につながります。
話の最後に大事なキーワードや伝達が隠されている場合がありますので、相手の話は遮らずに、最後まで聞きましょう。
これらを意識しながら相手の話を聴くことで、「自分の話が伝わっているか」「正しく理解してもらえているか」という相手の不安要素を払拭することができ、より深いコミュニケーションに繋がるのです。
伝達力を高める
伝達力を高めるには、相手に伝えるべき内容や要点を、整理しから話すことが大切です。
これによって話の要点を明確にし、必要な情報を過不足なく正確に伝えることができます。
具体的にはPREP法を意識することをお勧めします。
PREP法とは結論・理由・具体例・結論の流れで伝える方法です。
P=Point(結論)
R=Reason(理由)
E=Example(事例、具体例)
P=Point(結論を繰り返す)
このようにPREPの順番に沿って、まず結論から順を追って説明することで、矛盾のない筋道の通った内容を伝達できます。
また、「多い・少ない」「急ぐ・ゆっくり」など、人によって認識が異なるあいまい表現は使わず、「〇日以内」「来週〇曜日まで」といった明快な表現を用いるようにしましょう。
また、一部の人間しか理解できない専門用語や、業界用語などは避けて話すよう心掛けることも大切です。
さらに相手はいま話を聴ける状態か?といった、タイミングにも気を付けると、聴いて貰い易い環境をつくれるでしょう。
質問力を高める
質問力を高めるには、質問の際に5W1Hを意識することがポイントです。
Who:誰が
When:いつ
Where:どこで
What:何を
Why:なぜ
How:どのように
これら5W1Hのうち、どれが不明確であるかを意識して質問すると、質問者の意図が明確になり、相手から的確な回答を得られやすくなります。
また、二者択一で答えられるような質問をしないことも重要です。
二者択一の質問をすると、2つの選択肢以外の可能性をあらかじめ排除してしまうことになるからです。
ビジネスでは常に新しい可能性を模索するべきであり、回答が限定される質問ではなく「オープンクエスチョン」を心がけるべきでしょう。
身だしなみや立ち居振る舞いに注意する
ビジネスコミュニケーションのスキル向上においては、清潔感があり、ビジネスシーンに相応しい身だしなみを心がけることも重要です。
例えばシャツにシワが無いか、清潔感のある髪型かなど、改めて確認してみましょう。
身だしなみに気をつけてポジティブな印象を相手に与えることは、信頼関係構築には大切です。
また相手の話を聞く際には、身体ごと相手の方を向き「あなたの話を聴いている」ことをメッセージとして、相手に分かりやすく伝えることが大切です。
パソコンの画面を見ながら、曖昧な相槌で話を聴くなどといった姿は、絶対に相手に見せるべきではありません。
まとめ
ここまで何度も触れてきた通り、ビジネスコミュニケーションの本質は「相手との共通認識を作り、信頼関係を構築すること」であることを、理解していただけたと思います。
そのためには、相手へのことを考えながら情報のやり取りをすることが大切です。
また、ビジネスコミュニケーションはどの階層にも必要なスキルです。
改めてビジネスコミュニケーションの重要性を意識して、皆が働きやすい職場環境の構築に努めてください。